基本情報
当院の麻酔科は、全身麻酔が必要な手術の術中管理を主体とし、手術前・手術後の患者さんの全身状態を良好に維持・管理するために細心の注意を払って診療を行っています。
※ペインクリニック外来は行っておりません。
手術中の麻酔管理は、大きく分けて3つあります。
呼吸管理
手術中に十分な酸素を患者さんの体の中に送り込むための環境を整えます。
循環管理
手術中の患者さんの血圧・脈拍・尿量など心臓の動きや血液の流れを整えます。
疼痛(とうつう)管理
手術中、手術後に体への最大の負担となる痛みから患者さんを守ります。
安全で質の高い麻酔を患者さんに提供し、安心して手術を受けていただくために、術前訪問をし、カルテの確認や診察を行います。必要と判断した時には、追加の検査を行うこともあります。そうして、患者さん一人ひとりに合った麻酔を考え、安全に手術が終えられるよう計画を立てています。
手術を受けられる患者さんとご家族の方へ
~安全に、安心して手術を受けていただくために気をつけていただきたいこと~
喫煙をされている方について
- 喫煙をされている方は、手術が決まったらなるべく早く禁煙をしてください。喫煙をしていると周術期の呼吸器系の合併症の発症率が、喫煙していないときの4倍になると言われています。
- 手術の1カ月前から取り組んでいただくことが望ましいです(少なくとも、2週間以上の禁煙をお願いします)。
患者さんのなかには、「手術をきっかけに禁煙ができた」という方もおられます。手術を受けることは、患者さんにとっては不安なことであり、人生の一大事ですが、手術後も禁煙を続けることができれば手術による治療だけでは得られない健康の獲得や、生命予後の改善にも繋がります。
生活習慣病にかかられている患者さんについて
高血圧、糖尿病(境界域にある人も含む)、肥満、虚血性心疾患(狭心症など)がある方は、厳しくコントロールして数値を正常域に戻しておきましょう。そうでないと麻酔を受けられない場合があるばかりか、術中・術後にトラブルが起こりやすくなります。
特に、手術時のBMI(体重kg÷身長m÷身長m)は、原則35未満という制限を設けています。
BMIが35を超えている場合、
- 静脈が見つけにくいため、点滴が難しい
- 気管挿管が困難
- 肺が脂肪につぶされ膨らみにくくなり低酸素状態に陥りやすくなる
- 手術中の体位変更が困難となり時間がかかる
上記のような、大きなリスクが考えられます。そのため、麻酔科医の術前訪問時だけでなく、主治医からも、手術前に減量するよう指導をお願いしており、リスクを丁寧に説明し、患者さんご自身に正しく理解していただくように努めています。
以上の事柄は、日常の食生活と軽い運動の継続で改善するものばかりです。安全に手術、麻酔を受けていただくために、普段から心がけてください。