基本情報
当科では、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患をはじめ、心不全、不整脈、弁膜症、心筋症、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)などの各種心血管系疾患の診断及び治療を行っております。
365日24時間体制
急性心筋梗塞や不安定狭心症など、一刻を争う急性期虚血性心疾患(急性冠症候群)に対しては、365日24時間体制で受け入れを行えるよう循環器内科医が待機しており、救急搬送後、必要があれば直ちに緊急心臓カテーテル治療を行うことができます。一方で、動脈硬化性疾患予防のための高血圧症・脂質異常症・糖尿病等の生活習慣病管理にも積極的に取り組んでいます。
心不全症例に対する心臓リハビリテーション
2020年からは「心不全症例に対する心臓リハビリテーション」を本格的にスタートしました。昨今の高齢化を背景に、全国的に心不全患者が増加していますが、当院の主たる診療圏である神戸市兵庫区や長田区も例外ではありません。特に「慢性心不全の急性増悪」で入院を繰り返す症例も増加しています。そういった状況に対し、再発による再入院を回避するため、「心臓リハビリテーション指導士」の資格を持つ医師や理学療法士が中心となって、入院中から心臓リハビリテーションを行っていただける体制を整えています。看護師、管理栄養士と連携し、週一回の「心臓リハビリテーションカンファレンス」や「心臓病教室」を適宜開催するなどして日々研鑽を積んでいます。2021年からは、外来通院中の心不全症例を対象とした「外来心臓リハビリテーション」もスタートしました。
医療従事者向け「心不全カンファレンス」
また、「心不全の患者さんが最期まで住み慣れた地域で生活するには地域連携、チームアプローチ、意思決定支援が重要である」という考えのもと、地域の医療従事者とともに心不全について考え、学ぶ機会を持つために「心不全カンファレンス」を定期的に開催しています。参加者は医師、訪問看護師、介護福祉士、ケアマネジャーなど多職種で、人数は毎度100人を超す大規模なものとなっています。
今後も、地域の医療機関や在宅医療にかかわる医療従事者の方々と連携し、循環器疾患を抱える患者さんが安心して住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、救急医療を含めた幅広い領域のニーズに対し診療体制を維持することで、地域の循環器診療の中心的役割を担い、救急医療体制の充実や病診連携を強化してまいります。
当科の沿革
当科は、病院開設から40年が経過した1977年、CCU治療では日本の先駆けといわれる東京女子医科大学から循環器内科の専任医師を招聘し、「心臓病センター」を設置したことが始まりです。当時、CCUの設置は、神戸市内では中央市民病院に次いで2番目の早さでした。その後も地域住民のニーズに応え、高度で質の高い医療を提供すべく、高度医療機器を導入して「急性期医療」体制を充実させ、2003年には24時間緊急カテーテル検査ができる体制を整え、2007年には当時最新式の64列マルチスライスCTを導入し「冠動脈CT」の実施が可能になりました。
その後、2013年に西館が新設された際には、救急外来・心臓カテーテル室・HCU・心臓血管病センターが西館3Fの同フロアに集約され、急性期から慢性期まで幅広い状態の患者さんに効率的に対応できる体制が整いました。
主な治療対象
循環器内科への受診が必要な症状、状況
- 健康診断で心電図異常、血圧高値、心雑音などを指摘された時
- 胸部症状:胸の痛み、圧迫感、絞扼感、動悸、息切れなど
- めまい、ふらつき、失神など
- 歩行時の足の痛み、足の皮膚の色調不良など
診療可能な疾患
病状によっては高次医療機関と連携して治療を行います。
虚血性心疾患 | 急性心筋梗塞(AMI)、陳旧性心筋梗塞(OMI)、狭心症(AP)、不安定狭心症(UA)など |
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心不全 | 急性心不全、慢性心不全 |
不整脈 | 心房細動(AF)、心房粗動(AFL)、発作性上室頻拍(PSVT)、不整脈(上室性期外収縮:PAC、心室期外収縮:PVC)、洞不全症候群(SSS)、房室ブロック(AVB)、WPW(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト)症候群など |
弁膜症 | 大動脈弁疾患(狭窄症:AS、逆流症:AR)、僧帽弁疾患など |
心筋疾患 | 拡張型心筋症(DCM)、肥大型心筋症(HCM)、心筋炎など |
末梢動脈疾患(PAD) | 閉塞性動脈硬化症(ASO)、大動脈瘤、大動脈解離など |
静脈疾患 (静脈瘤は除く) | 深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)など |
先天性心疾患 | 心房中隔欠損症(ASD)、心室中隔欠損(VSD)など |
その他 | 動脈硬化症など |
当院で可能な検査
生理検査
頚動脈超音波検査、腎動脈超音波検査、下肢動脈超音波検査、下肢静脈超音波検査、ホルター心電図、血圧脈波図(ABI)、ABPM、トレッドミル、運動負荷心電図、マスター運動負荷心電図、血管内皮機能検査
心エコー検査
経胸壁心エコー(TTE)、経食道心エコー(TEE)、薬物負荷心エコー
放射線検査
心臓核医学〔アイソトープ/RI(アールアイ)〕検査(運動負荷心筋血流シンチ、薬剤負荷心筋血流シンチ、安静心筋血流シンチ、脂肪酸代謝心筋シンチ、交感神経心筋シンチ、肺血流シンチ)、冠動脈CT、血管系CT(心臓除く)、心臓MRI、血管系MRI/MRA
心臓カテーテル検査(PCI除く)
冠動脈造影検査(CAG)、左室造影検査(LVG)、動脈造影検査(AOG)、右心カテーテル検査(RHC)、心臓電気生理学検査(EPS)