インタビュー

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写真左から、内科専攻医研修室長 村井医師、医師臨床研修センター長 松田医師、総合診療研修室長 松島医師、初期臨床研修室長 高井医師

川崎病院の研修医の特徴は?

都心部にありながら、アットホームな規模感

ーーーー はじめに、川崎病院の特徴を教えていただけますか。

松田:川崎病院は、神戸市内で24時間365日体制で運営されている二次救急医療施設です。急性期病院の機能をもちながら、それと同時に、地域医療の充実のために地域包括ケア病棟を備えており、在宅医療などにも力を入れています。また、地域医療支援病院として、近隣の医療機関やさまざまな施設との連携にも力を注いでいます。「良質な医療を提供し、信頼される病院に」という医療理念があるのですが、本当の意味で、地域と共に成長し、地域に貢献していくことに取り組んでいる病院だと思います。

高井三宮まで15分という神戸の中心地に位置している中規模市中病院です。がんや心臓疾患などの治療や手術に加えて、喘息、肺炎、尿路感染など、一般的な疾患が豊富です。これらの病気の症状を抱える患者に対して、経験豊富な指導医や上級医の指導を受けながら、CVC挿入などの高度な医療技術も多くのケースで実践することが可能です。あとは、怖い人がいないですね。

村井:都心部にありながら、アットホームな規模感で、しっかり経験できるというのが、研修医にとってちょうどいいと言ってくれる人が多いように思います。大きい病院で大人数で研修という形ではないので、指導医だけでなく、上級医みんなが研修医の顔と名前を知って関わっている感じが自然に行われている環境じゃないかなと。特長というより、ちょうどいいみたいな(笑)。

松田:たしかに「ちょうどいい」という言葉がしっくりきますね。あとは、総合診療で有名な「頴田病院」での地域医療研修も特長だと思います。当院と「飯塚病院」の2病院でしかできないものらしく、このプログラムでは、プライマリ・ケア外来、地域包括ケア病棟、在宅医療など、地域全体の医療をカバーするスキルを実践する機会が提供されています。ちゃんとしていることも言っておかないとですね(笑)。

少数制の指導で手厚い研修。だから、実践力がつく

診察や手技の経験を数多くを経験することで、手に入れるスキル

ーーーー 川崎病院を初期研修の病院として検討している学生の皆さんに、川崎病院の研修医の特徴を教えていただけますか。

松田:そうですね。研修医の数に対して指導者の数が多いのは特徴の一つですね。そのため、フォロー体制が充実しています。30代後半から40代の、経験も実力もある指導医が多くいるので、研修医との距離も近く、密な指導をしていますね。研修医の成長をしっかりサポートすることができています。

村井:それは当院で研修医をしている学生さんからもよく聞きますね。内科の研修では、研修1年目から上級医のサポートを受けながら症例の診療にも参加していただきます。上級医とのコミュニケーションが非常に密接です。研修医が質問しやすい環境が整っていますね。

高井:当院は、研修医が実際の患者さんを診察したり、さまざまな手技を経験する機会を多く持つことに重点を置いています。そのため、川崎病院での研修を終了するころには、研修医の皆さんは実践力をしっかり身につけていますね。少人数制なので、指導医のフォローのもとで研修医が患者さんの診察や手技の経験を数多く持つことができます。その点は、当院の強みですね。

村井:2年間の初期研修を大学病院で受けた後、専攻医として川崎病院の内科で勤務する3年目の医師が、「川崎病院の2年目の研修医は、驚くほど患者さんを診る力がある!」とよく言っていただけますね。

高井:川崎病院で研修医をすると、2〜3年目には実力が目に見えるほど身についているということですね。

診療科ローテーションで途切れない内科研修

病名がつく前から退院まで。1人の患者さんをじっくりと診る

ーーーー 診療科ローテーションの特徴を教えてください。

高井:当院の内科の研修は、臓器別のローテーションがないんです。その点もユニークですよね。一般的には、内科の研修では臓器別のローテーションが組まれることが多いです。たとえば、糖尿病のローテーション期間では糖尿病の患者さんだけを診て、次の期間では消化器内科の患者さんに絞った診療という流れの研修になります。でも、当院では、異なる診療科の患者さんを並行して担当する経験ができます。それは大きな特徴ですね。

村井:そうですね。当院では臓器別に途切れず全体的な診療経験を積むことができます。たとえば、研修医が5人の患者さんを担当する場合、糖尿病患者だけでなく、消化器疾患や肺炎などの患者も同時期に診察することがあります。そのため、研修医は受け持つ患者さんごとに異なる上級医とコミュニケーションをとる、という状況が必然的に生まれます。研修を終えた後には、患者さんを最初から最後まで診なければならないですからね。

松島:研修医は患者さんの病名がつく前から、プライマリ・ケアのファーストコンタクトから退院まで一貫して診療を行うことができます。場合によっては退院後の在宅診療まで担当することもあります。だから、研修医は患者さんの病状だけでなく、その人の生活面まで診る経験ができるのです。地域包括ケア病棟などでは、研修医が特定の患者さんに対して継続的なケアができるので、1人の患者さんをローテーション中にじっくりと診ることができますね。

高井:同じように救急医療も研修期間中も継続的に救急医療に携われることは特長だと思います。例えば、ローテーション中の3ヶ月だけ救急医療に携わって1年間救急に触れることがなければ、実際の現場に出たとき、即戦力にならないですよね。その点、当院のように研修期間中なら救急医療に積極的に関われる環境は、非常に大きなメリットだと思います。地域医療に貢献する医師になるには、このような経験がおおいに生きてくるでしょう。

村井:川崎病院は、「病院全体で研修医の育成をしよう」という考え方を持っています。研修医が自分の興味や希望に合わせて学びやすい環境を提供しています。ときには、研修医の希望で新たに他院と連携施設としての協定を結ぶこともあります。研修医が自分のキャリアを築くことができるのも魅力の一つだと思います。

プライマリ・ケア(総合診療医・在宅医療)

臨床の医療とは異なる観点を身につける

ーーーー 学生さんの在宅医療への関心はいかがですか?

村井:最近、研修医の間で在宅医療に対する関心が高まっています。超高齢化社会が進む中で、患者さんの人生を中心に考え「生活の質(Quality Of Life)」の向上がこれまで以上に求められるようになっていますから。患者さんにとっても、在宅医療はますます重要な選択肢となっていますね。ここ数年、総合診療科で研修したいという学生が急激に増えています。

全員:その通りですね。

松島:急性期病院では家庭的な医療を提供するところは少ないかもしれません。でも、当院では総合診療科の一環として訪問診療も行っています。在宅医療は治療だけでなく、患者さんの生活面を含めた総合的なアプローチが求められます。

松田:訪問診療は患者さんの生活と直結している医療でもあり、緩和ケアや終末期ケアも含まれます。そのため、訪問看護や訪問介護、地域包括支援センターなど、地域資源を活用して、新しいネットワークを構築するなどして、その中でリーダーシップがとれるような、臨床の医療とは異なる観点から患者さんと向き合うことが求められますね。

松島:団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年を目標に「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。そこで重要なゲートキーパーとしての役割を果たす存在として、まさに広い視点を持って地域を診る医師である「総合診療医」が求められています。そんな中、当院も総合診療と家庭医療専門医プログラムの整備が進み、2022年度からは当院でもそのプログラムを取得できるようになりました。

松田:在宅医療は、都市部・へき地関係なく必要とされています。そのため、場所を選ばず勤務も可能です。もちろん、神戸で生活を続けながら総合診療医・家庭医として活躍することもできるでしょう。また、予防や公衆衛生のフィールドにおいても活躍の場があり、キャリアの選択肢も広がっています。そのために興味を持つ学生も多いようです。

患者さんから慕われる優しい医師を目指す

ぜひ、一緒に成長していきましょう

ーーーー 最後に、川崎病院に興味を持っている研修医にメッセージをお願いします。

松田:川崎病院は、とにかく優しくあたたかい病院で、アットホームな雰囲気が特徴です。患者さんとの良いコミュニケーションを築くことが大事なので、当院では人当たりのいい医師になるための技術も教えていますよ(笑)。

全員:(笑)

高井:手技もたくさん経験でき、自分の興味のあることややりたいことをたくさん学べる環境だと思います。

村井:病院全体で、研修医を大切にしている雰囲気がありますし、私たち指導医も積極的にコミュニケーションをとりたいと思っています。

松島:内科専門医も総合診療・家庭医療専門医も、地域に密着した医療にやりがいを感じる人たちに来ていただけるといいなと思います。

松田:患者さんから慕われる優しい医師、信頼される医師を目指している人にぜひ来ていただきたいですね。一緒に成長していきましょう。

全員:お待ちしています!